建築が自分事になる建材とは。
西大井のあな 都市のワイルド・エコロジー

住みながら壊しつくりあげる
日々成長する都市の構造物

東京都品川区の「西大井のあな 都市のワイルド・エコロジー」は、建築家・能作文徳氏の事務所兼自邸である。4階建鉄骨造の建物は、約30年前のバブル期に建てられたものだ。建物の象徴である1階の天井から4階まで通じる大きな「あな」を中心に、「なるべくお金をかけずに、住みながら自分たちで改修する」という、現代の建築のあり方に問いを投げかける実験を始めた。

建物に使われているのは、展示会場で使われた廃材やメーカーから譲ってもらった型落ちした建材など。朽ちた部分や剥き出しになった配線など解体の過程もデザインの一部だ。さらに太陽熱の利用やペレットストーブの導入など、環境負荷の少ない方法を吟味することも忘れない。まさにこの建物に名づけられた「都市のワイルド・エコロジー」を実践している。

「西大井のあな」を通して、限られた予算のなかで工夫し、自ら手を動かしてつくりあげる面白さを感じた能作氏。この経験から、最近ではクライアントにDIYを勧めることも多くなったという。「コスト削減のために材料の質を落とすのではなく、自分たちでできることもたくさんあるはず。手を動かすことによって当事者意識が芽生え、さらに愛着も湧くようになっていきます」と語る。

「西大井のあな」の改修はまだまだ続く。「建物の完成形はなく、いきあたりばったりが面白い」と能作氏。これからも都市空間で自然とつながりながら、この建物は日々成長を遂げていく。

西大井のあな 都市のワイルド・エコロジー
西大井のあな 都市のワイルド・エコロジー

所在地 / 東京都品川区
設計 / 能作文徳+常山未央